歯周病について
当院の歯周病治療の特徴について
まずは歯周ポケットと呼ばれる、歯と歯茎の間の深さを測ります。歯周病の方はポケットがかなり深くなっており、そこに汚れが溜まることで、さらに歯周病が進むという悪循環に陥ってしまいます。
当院では、ポケットの中まで清掃し、患者様からの要望があればさらに歯磨きについても、指導いたします。その後、再検査し、歯茎に改善傾向が見られなければ、1週間に1回程度のペースで、ポケットの中の歯石までお掃除させていただきます。
歯周病治療の診療方針
基本的には、毎日のセルフケア(ご自身の歯磨き習慣)が1番大事になってきます。なので、歯磨きについての指導と、歯と歯茎の間や歯と歯の間など、歯磨きだけでは綺麗にしづらい所を定期的にお掃除させていただきます。
歯周病を改善し、予防していくことで、より長くご自身の歯でお食事できるように、最善を尽くします。
軽度歯周病
見た目
特に変化はありません。よく見ると歯茎が腫れて赤くなっていることもあります。
痛み
特に痛みはありません。
日常生活の支障
歯磨きをしたときに出血がある方もいます。
中等度歯周病
見た目
歯茎が腫れて赤くなり、歯石がついていることもありますが、専門家が見ないとわからないこともあります。
痛み
歯がしみたり、食事の際に痛みを感じる方もいますが、ほどんどの場合は痛みはありません。
日常生活の支障
歯磨きをしたときに出血があります。食べ物が詰まりやすい方もいます。
重度歯周病
見た目
歯茎が下がって、歯の根っこが見えてしまいます。大きな歯石がついている方もいます。
痛み
痛くて食事ができない方もいます。
日常生活の支障
手で触ってもわかるくらい歯が揺れているので食事ができません。歯茎が下がって歯がしみる方もいます。
歯周病·歯肉炎について
歯周病
歯周病とは?
歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で歯の周りの歯茎(歯肉)や歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。
歯周病の症状
歯茎の赤みや腫れ、出血、口臭といった症状が起こります。症状が重くなった場合、歯を支える骨が溶けてしまい最終的には歯が抜けてしまうことがあります。
歯周炎
歯肉炎とはどんな病気か
歯肉炎とは、歯の周辺組織(歯周組織)のひとつである歯茎が赤く腫れて、炎症を起こしたり、歯茎から血がでたりする病気です。歯周病の初期段階が歯肉炎と呼ばれています。
歯肉炎の症状
歯肉の表面がぷっくりふくれ、しばしば血が出ます。歯槽骨が後退します。
歯周病になる原因とは
歯周病の原因は、食事などで歯の周りに溜まったプラーク(歯垢)です。歯と歯の境目に溜まったプラークは、その毒素によって周囲の組織を破壊し、炎症を引き起こします。炎症が奥まで進行すると、やがて歯を支える歯槽骨を溶かし始めます。
歯周病になりやすい人とは?
歯周病になりやすい人は以下の傾向にある方が一般的に多いです。
- 歯を磨かない人・口の中をキレイにできない人
- タバコを吸う人
- 糖尿病の人
- 口をポカンと開けている人
- 歯ぎしりをする人
- 歯並びが悪い人
- 降圧剤・てんかん剤・免疫抑制剤などの薬を飲んでいる方
歯周病と全身疾患について
歯周病を放置しておくと、歯の健康を損なうのはもちろんのこと、全身疾患へ影響する場合もあります。
- 糖尿病
- 心筋梗塞、心内膜炎など
- 脳梗塞
- 早産及び低体重児出産
- 誤嚥性肺炎
歯周病で抜歯を行った方が良いケース
また、歯周病が悪化した際には、抜歯した方がよいケースもありますが、当院ではできるだけ抜かないで済む治療を心がけております。
- 歯の周囲の骨が大きく溶けている
- 隣の歯にまで骨の吸収が及んでいる
- 重度に揺れている
- 治療を繰り返しても症状が変わらず、膿や腫れが改善しない
歯を抜かずに治療するメリットとデメリット
メリット
自身の歯を用いることができる
デメリット
歯周病が悪化し、痛むことがある
歯を抜いた場合メリットとデメリット
メリット
歯周病の拡大を抑えられる
デメリット
自身の歯を失ってしまう
歯周病のセルフチェックについて
以下の症状に当てはまる方は歯周病の可能性があるのでお気軽にご相談ください。
- 歯磨きの際に出血する
- 硬い物が噛みにくい
- 口臭が気になる
- 朝起きた時、口の中がネバネバする
- 歯肉がときどき腫れる
- 歯肉が下がって、歯と歯の間に隙間ができる
- 歯がぐらぐらする
歯周病治療の基本的な流れについて
自分自身で感じている痛みなどの症状をヒアリングして、痛みがある場合はどの場所がいつから痛いかなど、詳細まで聞いていきます。
お口の自覚症状以外にも、喫煙の有無や持病についてなども確認します。
- カウンセリング
- レントゲン検査
- プロ―ピング
- かみ合わせ、詰め物などのチェック
- 歯磨き
- 歯肉縁上歯石を除去
- 歯茎より下の歯石を除去
- 再評価
治療がひと通り終了したら歯肉の状態をチェックして、歯周ポケットの深さを測ります。
歯垢·歯石が除去されて歯肉の状態が改善されると歯周ポケットが浅くなります。3mm以下まで浅くなれば治療は終了です。
再発を防ぐため、2~3ヶ月に1度のペースで歯科医院でメンテナンスを行います。
ただし、お口の状態によりメンテナンスの頻度が変わるので歯科医院にご確認ください。
精密歯周病検査について
- カウンセリング
- 口腔内規格写真
- プロービング6点法
- プラーク染め出し
- 歯の動揺度検査
- レンタルレントゲン10枚法(14枚法)
- 唾液検査
- かみ合わせ、詰め物のチェック
保険治療と自費治療の比較について
保険治療の場合
保険治療の検査内容、検査方法
- プロービング検査
- レントゲン検査
- プラークの付着状況の検査
保険治療の治療方法
- スケーリング・ルートプレーニング
- 歯周ポケット掻爬
- フラップ手術
保険治療の治療期間など
歯周病は軽度の場合と重度の場合とで治療方法が違うため、治療期間も大きく変わります。
平均的な期間は1~6か月です。
保険治療の限界や制限など
保険診療のルールでは一度の来院で行うことが出来る治療内容、治療部位が限定的になるよう指導されているため、そのルールに従う場合少しずつ治療を進めることになる為来院回数が増え治療期間が長くなる傾向が高いです。
自費治療の場合
自費治療の検査内容、検査方法
- 歯周病検査
- 位相差顕微鏡による検査
- 歯科用CTを用いたレントゲン検査
- 唾液検査
自費治療の治療方法
- 口内除菌療法
- スケーリング・ルートプレーニング:使う器具を超音波やレーザーなどを使うことにより、効率的で痛みの少ない治療ができます
- フラップ手術
- 再生療法
保険治療の限界や制限について
保険診療を遂行するためには、保険診療のルールに従った検査を行わなければなりません。
①治療の選択肢が限られる
国際的な歯周病学会では、毎年最新の治療方法が報告されています。それは、最新の治療法というのは、世界中、日進月歩で発達しているからです。しかしながらそれらの治療法の多くは、健康保険診療で選択が不可能な治療法であり、その恩恵を授かるためには、保険外診療を選択する必要があります。
②治療期間の長期化
保険診療のルールでは、1回の来院で行うことができる治療内容、治療部位が限定的になるよう指導されているため、そのルールに従う場合、少しずつしか治療を進めることができず、結果として来院回数が増え、治療期間が長くなる傾向が強いです。
③薬剤の制限
治療に使用する薬剤の種類、使用法も健康保険では厳密に決められています。
保険治療の場合の費用目安
軽度歯周病の場合
来院回数 | 約1~2ヶ月で来院回数4回(おおよその目安) |
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費用目安 | 一回で1,800円~2,000円程度(3割負担) トータルで5,000円~10,000円程度(3割負担) |
中等度歯周病の場合
来院回数 | 約3ヶ月~1年 来院回数6~20回(おおよその目安) |
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費用目安 | 一回で1,800円~2,000円程度(3割負担) トータルで10,000円~50,000円程度 (3割負担) |
重度歯周病の場合
来院回数 | 1年以上(おおよその目安) |
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費用目安 | 一回で1,800円~2,000円程度(3割負担) トータルで30,000円~100,000円程度 (3割負担) |
自費治療の場合の費用目安
軽度歯周病の場合
来院回数 | 約1~2ヶ月で来院回数4回(おおよその目安) |
---|---|
費用目安 | 10,000円~50,000円 |
中等度歯周病の場合
来院回数 | 約3ヶ月~1年 来院回数6~20回(おおよその目安) |
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費用目安 | 50,000円~500,000円 |
重度歯周病の場合
来院回数 | 1年以上(おおよその目安) |
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費用目安 | 200,000円~3,000,000円 |
歯周病の予防・治療法について
歯科医院でできること
- 口腔内審査(歯や歯ぐきの状態のチェック。また、お口の中の細菌数の計測など)
- 歯磨き指導(一人ひとりのお口の状態に合ったセルフケア方法の指導)
- スケーリング(スケーラーという器具を使った歯石の除去)
- PMTC=プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング(普段の歯磨きでは落とせない歯垢などを、専用機器で取り除く歯の清掃)
自宅でできること
- 歯磨き(歯垢を残さないよう、一本一本丁寧に磨く)
- デンタルフロス(歯ブラシが届きにくい歯と歯の狭い隙間の歯垢を取り除く)
- 歯間ブラシ(歯と歯の隙間が広くあいている部分の歯垢を取り除く)
- デンタルタフト(歯並びのよくない部分や、歯の裏側などの磨き残しをピンポイントで磨く)
- デンタルリンス(殺菌剤などの薬用成分をお口の中のすみずみまで行き渡らせて洗浄する)
歯周病の治療法
スケーリングとは
歯石や歯垢を除去する事です。
スケーリングの必要性
歯石はブラッシングだけでは落とすことができません。そのため、スケーリングして取り除く必要があります。
治療で期待できる効果は
- 歯周病や虫歯などのトラブルを防ぐ=歯石を取り除くと歯の表面が滑らかになるため、汚れや細菌が付着しにくくなります。
- 口臭予防になる=歯垢や歯石がお口の中に残っていると、口臭の原因になります。スケーリングを行うことでお口のにおいが軽減される効果が期待できます。
治療の特徴と流れ
- 超音波スケーラー(又はエアスケーラー)で全体の歯石を除去する
- 必要に応じて、手用スケーラーを用いて細かい部分の歯石や複雑な形をした部分の歯石を除去する
- PMTCを行い、歯面のざらつきを取り除く
歯周組織再生療法について
歯周組織再生療法とは
歯周組織再生療法は、歯周病により失われた歯周組織(歯肉·セメント質·歯根膜·歯槽骨)を再生させる目的で行われます。
どんな症状の時に行う治療なのか
歯周病の進行度が中等度までであれば、歯周組織再生療法で溶けてしまった骨の再生が期待できる場合があります。
治療で期待できる効果について
歯周病が進行した歯を抜かずに保存できる可能性があります。
治療の特徴と流れ
歯周組織再生療法は、組織の再生のために骨欠損部に誘導剤を入れるのが特徴です。
- 歯周病によって骨が失われ、深い骨欠損(骨吸収)が歯の周りにあります。
- 歯肉を一時的によけて、骨欠損部分を明確にし、さらに歯の根を徹底的にきれいにします。
- 組織誘導薬剤を歯の周りに注入します。
- 歯肉を元に戻し、組織誘導薬剤を密封します。
- 半年から1年をかけて、組織誘導薬剤が骨を再生し、患者さん自身の体の一部に変化します。
歯周外科治療(フラップ手術)
フラップ手術とは
進行した歯周病に対する治療方法のひとつで、深い歯周ポケット内の歯石や、病変部を除去し、歯ぐきと歯を支える周りの骨を、健康な状態にすることをフラップ手術といいます。
明視野での歯石除去や病変部除去を行うことにより、歯周ポケットを改善し清掃しやすい環境をつくる手術です。
どんな症状の時に行う治療なのか
歯周ポケット深くまで歯石が沈着し、器具が届かず、取り切れない場合や、取り切れても歯茎の炎症が残り、深い歯周ポケットが改善されない場合に、外科的処置を行います。
治療で期待できる効果は
- 汚れを隅々まで除去することができる
- 歯周ポケットが浅くなり、歯肉が腫れにくくなる
- 歯肉の中に歯石がたまりにくくなる
- 歯周病による口臭が軽減する
- 磨き残しが少なくなる
治療の特徴と流れ
治療の特徴について
歯周ポケットの奥深くの病巣を直接目で見て確認できるので、徹底的にきれいにすることができます。
治療の流れについて
- 麻酔:手術部位に麻酔をします。
- 歯肉の切開:歯肉を切開し、切開した部分の歯肉を部分的に剥離します。
- 感染した歯肉の除去:感染している歯周ポケット周囲の組織を取り除きます。
- 歯石の除去:歯根表面に付着している歯石を除去し、歯根表面を滑沢にします。
- 歯槽骨の調整:炎症により破壊された歯槽骨の形態を整えます
- 縫合:剥離した歯肉を元にもどし、切開した歯肉部分を縫合します。
- 保護:傷口を特殊なパックで覆って保護する場合もあります。
骨移植
骨移植とは
吸収された(溶かされた)骨を再生する目的で行う治療です。
どんな症状の時に行う治療なのか
歯周病で溶けた骨を元の状態にもどすときに行います。
治療で期待できる効果は
歯の動揺が少なくなる場合があります。
治療の特徴と流れ
骨が溶けてしまった範囲によって適応の範囲は限られますが、基本的には骨を作る細胞や作る作用を促進させるお薬を骨が溶けてしまったところに入れます。
そのために、歯茎を切り、歯と骨の間を見えるようにします。その後に細菌を徹底的に綺麗に掃除して、清潔な状態にしてから、薬を塗布します。その後、薬が漏れないように歯茎を縫合します。
歯周組織誘導法(GTR)
歯周組織誘導法(GTR)とは
歯周病などによって破壊されてしまった歯根膜や歯槽骨などの歯周組織の再生を誘導する治療法です。
どんな症状の時に行う治療なのか
広範囲に歯槽骨が溶けてしまっている
治療で期待できる効果は
- 入れ歯やインプラントなどではなく、自分自身の歯を使い続けることができる
- 合併症を誘発するリスクが少ない
- 50~90%の骨を再生することができ、歯周ポケットを浅くすることができる
治療の特徴と流れ
治療の特徴
特殊な吸収性の膜を使用して、歯槽骨と歯根膜が再生するためのスペースを確保し、再生を邪魔する歯肉の侵入をブロックすることにより、失われた歯槽骨と歯根膜を再生させます。
治療の流れ
- 麻酔をして、治療部分の歯茎を切開します。
- 歯根面に付着したプラーク·歯石を除去します。
- 骨が失われた部分を人工膜(メンブレン)で覆います。
- 切開した歯茎を縫合します。
- 術後2~3週間で抜糸します。
- 術後4~6週間で歯周組織が再生します